薬剤師のお金事情を一新する「薬マネ」レビュー
あなたが薬剤師であれ、これから薬剤師を目指す学生であれ、"お金"というテーマからは逃れることができません。
ただ、専門的な知識やスキルの認定試験、実務経験といったことに注力し過ぎて、なかなか金融リテラシーに触れる時間を捻出するのは難しいものです。
そんな薬剤師のために、役立つ一冊が登場しました。
それが「薬マネ」です。
この本は、薬剤師が『知る』『貯める』『稼ぐ』『増やす』『使う』という基本的な金銭管理を簡単に理解できるように設計されています。
「知る」「貯める」「稼ぐ」「増やす」「使う」の基本概念
「薬マネ」は、薬剤師に特化した金銭管理の入門書で、その内容は親しみやすく、かつ実践的であることが特徴です。
この本の基盤となるのが「知る」「貯める」「稼ぐ」「増やす」「使う・ライフイベント」の5つのカテゴリーです。
この本はイラストや漫画を駆使し、堅苦しい金融の話を分かりやすくアプローチしています。
この5つのカテゴリーそれぞれに全167セクションが用意されており、すべてが原則1ページか見開き2ページで完結します。
これにより、電車での移動中や休憩中などの限られた時間でも、簡単に金融知識を深められます。
「稼ぐ力」を再確認:薬剤師の視点から
「薬マネ」では、特に『稼ぐ』に関しては2つの章に分かれて詳細に解説されています。
CHAPTER 1で薬剤師としての通常業務および独立・起業を起点に説明し、CHAPTER 7と8において、本業と並行した副業の具体例が示されています。
薬剤師の多様な働き方には、診療報酬や認定・専門薬剤師との関連も含まれており、診療報酬改定の影響を受けやすい薬剤師の収入状況を理解するのに役立ちます。
また、「薬剤師はFIREできるのか!?」という特別章では、早期リタイアを目指すFIRE(Financial Independence, Retire Early)の可能性とともに、FIRO(Financial Independence, Remaining Occupied)の考え方を紹介しています。
非常に充実した稼ぐ力の向上策が記載されています。
お金の基本を学び直す
第2章では「お金のキホン」と銘打ち、金融の基本的な知識からより高度な金融商品や投資についてまで幅広くカバーしています。
仮想通貨のような新しい投資手法の紹介や、そのリスクについても触れており、若い薬剤師が陥りがちな金融トラブルを未然に防ぐための指南が含まれています。
また、「減らす」「備える」「借りる・返す」といった章では、生活設計における消費管理、将来に備えた貯蓄および借入金の管理方法を丁寧に解説しています。
これらを通して、薬剤師に最適な資産形成が可能になる実用的な知識を得ることができます。
コラムで一息しつつ学ぶ
コラムはそのコンテンツをさらに魅力的にし、現実の成功例や失敗例を交えて学ぶ機会を提供しています。
例えば「診療報酬と診療報酬改定は薬剤師の収入に関係する」や「認定・専門薬剤師とのお金の話アレコレ」などは、薬剤師としての職務が如何に収入に影響するかをより具体的に理解させてくれます。
また、「実はお金よりも大事に思うこと」シリーズでは、幸福度や人間関係、健康といった、人生においてお金以上に重要な要素について触れられています。
これは、単なるお金持ちになることが成功のすべてではないと深く知るための容赦ない真実を提供していると言えるでしょう。
読者を刺激する「薬剤師十人十色」の成功例
本書の巻末にある「薬剤師十人十色」は、多彩な薬剤師たちの実際のライフストーリーを垣間見ることができます。
この章では、異なるバックグラウンドを持つ薬剤師たちがどのようにして自身の稼ぎ方、お金にまつわる価値観を形成してきたかを示します。
ここには、さまざまな経歴や信念を持つ薬剤師が一堂に集まり、それぞれの経験談やルートを共有しています。
特に、「おしぼり社長」や「薬剤師Noriko×医療通訳×クリエイター」など、多様なキャリアを持つ薬剤師たちのエピソードは非常に興味深く、自分に最適なお金との関係を築く助けになるでしょう。
お金の知識で未来を変える
「薬マネ」はお金に関する基本的な知識と応用を包括的に網羅するだけでなく、薬剤師という立場に特化した内容で、日常業務に密接に関わる診療報酬や起業、副業の実践を促します。
しかし、それにとどまらず、資産の構築を通して、生涯にわたり共に歩むお金との付き合い方を根本から再考するための重要な手掛かりも提供します。
それにより、読者は実際のライフプランの設計を考え直し、大切な資産形成を行うことができるでしょう。
知識ゼロからでも理解できるアプローチと、読みやすい構成が特徴的なこの本は、今後のキャリアに不可欠な金融知識を身に付けるための第一歩となることでしょう。
それは、薬剤師全員にとっても、魅力的で、新たな自己発見のチャンスとなります。
この素晴らしい本をもって、未来を切り開きましょう。