医療現場の「働き方改革」を支える一冊
看護管理者としての視点から、現代の医療現場が抱える深刻なテーマ、「労務マネジメント」を考察することは、多くの人々にとって非常に重要な課題です。
国内では、2019年4月に「働き方改革」がスタートしましたが、その直後に襲った新型コロナウイルス感染症の影響により、医療現場の労働環境は一層複雑化しています。
特に病院では様々な労務問題が発生し、看護管理者はそれに対応するための知識が求められています。
そんな中、医療機関の労務管理者や看護部長、師長に手渡しておきたい、心強いガイドブックが誕生しました。
産労総合研究所から出版された『看護のチカラ』を集約した本書は、法改正や最新の労務対策を含む実用的な内容になっています。
看護管理者にとっての法律の基本がわかる
看護管理者とは、病院内のことを広く見渡し、日々の業務やスタッフの管理を行う、極めて重要な役割を担っています。
しかし、看護業務の中で、労務管理という面まで網羅するのは至難の技です。
ここで、本書が力強い味方となるのです。
著者の坂上和芳氏は、この難題に対して極めて分かりやすいアプローチを提供しています。
看護部の目線から書かれているので、特に看護管理者にとって直感的に理解しやすい内容になっています。
法律の基本として知っておくべきポイントを挙げ、具体的なQ&A形式での解説が、実際の現場で直面する問題にすぐに役立つ知識を与えてくれます。
具体的な労務マネジメントの問題と解決法
働き方改革が導入されたとはいえ、現場での問題は未解決のまま停滞しているケースも多いです。
例えば、「前残業の改善」「勝手な残業」「新人の残業代未払い」など、管理者の頭を悩ませる問題はたくさんあります。
本書はこれらの問題を実際のエピソードを交えて取り上げ、具体的な解決策を示しています。
管理者が問題を理解し、どのように対応すればよいのかをステップバイステップで教えてくれるため、すぐに実践に移すことができるのです。
また、法的な知識だけでなく、人間関係のマネジメントにも触れられているため、より総合的な視点での業務改善が図れます。
休暇制度や勤務表の適切な管理がもたらすメリット
休日や休暇制度についても、病院内では濫用や不平等感が問題として挙げられることが多く、管理者はこの問題にも頭を痛めています。
「退職前の有給休暇の副消化」「勤務表における不公平感」など、すぐに対応しなければならない問題です。
本書では、こうした休暇制度の運用の改善に役立つ情報が多数掲載されています。
適切なマネジメントが行われると、スタッフの働きやすさが向上し、労働環境の改善につながるだけでなく、従業員のモチベーションアップ、医療の質の向上にも寄与することになります。
育児・介護休業の管理と多様化する働き方を支援する方法
現在の社会情勢を考慮すると、育児や介護に対する休業制度の重要性が増しています。
それと同時に、副業や兼業を望む看護師も多くなってきました。
時代の変化による多様化する働き方を支援するためには、育児・介護休業から副業・兼業までの包括的なマネジメントが必要です。
本書は、そのための具体的なアプローチを詳解しています。
管理者がスタッフの多様なニーズに応えることができれば、彼らの働く意欲を向上させ、病院全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
ハラスメント問題への適切な対応策の紹介
今や社会問題ともなっているハラスメント問題ですが、医療現場でも例外ではありません。
看護師同士や上司部下間でも、パワハラやセクハラなどが問題となることがあります。
本書は、どのようにしてハラスメントを未然に防ぎ、また発生した場合にはどういった措置を講じるべきか、管理者としての適切な対応策を紹介します。
法的な処置から社内教育まで、幅広い視点でこの問題に向き合うための指南書となっています。
メンタルヘルスと職場の環境改善の重要性
医療現場は、常に緊張感が漂っている場所でもあります。
それだけに、スタッフのメンタルヘルスは非常に重要です。
適切なサポートとストレスチェックを実行し、精神的なサポートを行う管理者の役割が問われてきます。
本書では、メンタルヘルスを維持するための具体的な方針や、問題を早期発見し、対応するためのアプローチを提供しています。
看護師が心身ともに健康でいることが、患者へのケアの質向上にもつながります。
『看護のチカラ』を核とする本書は、全ての看護管理者へ向け、法律や労務マネジメントについての効果的な知識を提供してくれます。
看護の現場で直面する様々な労務問題を、より良く解決していくためのバイブルとなるに違いありません。
この一冊を手に取ることで、看護管理者は確実に自信を持って、現場に挑むことができるでしょう。